Contents
甘酒との由来
桜井市三輪の大神(おおみわ)神社の摂社として境内に鎮座する活日(いくひ)神社は、別名『一夜酒社(ひとよざけのやしろ)』とも呼ばれています。祭神は杜氏の神様である『高橋活日命』です。崇神天皇(第10代)の統治の時代、この地が疫病に見舞われていた時に、高橋活日命に大神神社の主祭神である大物主大神に献上する酒を造らせ、疫病を鎮めたという逸話があります。この酒は、一夜で造られた美味しい酒であったことから、高橋活日命が祀られている活日神社は一夜酒社とも呼ばれています。
一夜酒は、平安時代の900年頃の文献で、醴酒の別名として登場しています。そして、醴酒は応神天皇(第15代)の統治時代に、国栖人(奈良県吉野郡にいた土着の人々)が天皇に献上して国栖奏(くずそう)を奏でて踊ったという逸話もあります。この国栖奏の御神事は、現在も吉野郡の山奥にある浄見原神社で『国栖奏』として残っており、この時、神前には醴酒が供えられます。
そして一夜酒や醴酒は近代から現代にかけての甘酒のルーツと言われています!
奈良時代の始まりは710年に元明天皇(第43代)が平城京に遷都した時なので、ここに登場する崇神天皇(第10代)や応神天皇(第15代)が、如何に古い時代の話であったのかが分かるかと思います。
活日神社の感想
活日神社は、JR西日本桜井線『三輪駅』から徒歩で10分、大神神社の本殿の左側の参道を少し進んだ山の中に鎮座しています。大神神社から活日神社に至るまでの参道は、強い日が照っていても、あまり光が届かず、薄っすらと差し込む光が神秘的な空間で、真夏にも関わらず、空気が少しひんやりしていて気持ちがいい場所です。
活日神社の鳥居の前には、祭神の高橋活日命の逸話『大物主大神に供える神酒を醸した掌酒(さかびと)で、杜氏の祖神として酒造関係者に篤く信仰されている』、『一夜で美味しい酒を造った神話から、一夜酒社(ひとよざけのやしろ)とも呼ばれていた』と書かれています。
鳥居をくぐり、山を登っていくと、御社が鎮座しており、お参りしてきました。
当神社は、甘酒のルーツである一夜酒の名とその逸話があり、古代の甘酒の歴史を語るには外せない重要な場所として記事にしたためました。
また本社の大神神社は日本最古の神社で、本来の御神体は三輪山であるという原初の神祭り(昔は自然の山・川・木・岩などが神様が宿る御神体として崇められていた)の形式を伝えており、是非、一度は参拝しに行きたい素敵な場所です。
活日神社の情報
最寄り駅:JR西日本桜井線「三輪駅」徒歩15分
住所:奈良県桜井市三輪1422