日本の関東地方はすでに冬の陽気に移り変わりつつあり寒い…もう晩秋である。
それに対してタイは赤道付近の国、その気候は常夏であり、バンコク郊外のドンムアン空港に着いた際は気温が33℃の蒸暑い真夏日であった。
そんな常夏のタイにはカオマークというお米を発酵させて作る甘酒がある!
今回は人々の生活にどのように馴染んでいるのか、また広く普及してるのかなど知りたくて2019年11月18~21日の日程でバンコクを訪れた。
Contents
タイの甘酒「カオマーク (khao mak:ข้าวหมาก)」
タイは麹を用いて酒を作る文化圏で、米の酒をサト(sato)と言い、その前の甘い段階で飲む甘酒の様な飲み物がカオマーク(khao mak:ข้าวหมาก)である。
カオマークは甘酒と同様に、麹を用いて米を発酵させたトロピカルな香りに強い甘さと程よい酸味がある伝統的な発酵飲料。まさしく、日本における甘酒の様な飲み物なのです!
その作り方は蒸米を水で洗い、麹であるルクパンを振り掛け、バナナの葉に包んで2〜3日発酵させるとトロピカルな香りが立ち昇る甘~い、甘いカオマークが出来上がる。
これを1週間発酵させるとサトという米酒に、さらに1〜2週間発酵させると酢になる。
カオマークは非常に美味しい反面、若者には全く認知されておらず、知らない人も非常に多いとのこと。
現地の人に何度か「カオマークがある場所を知ってるか?」と聞いた所、知らない人もかなりの数いた。
これも2011年以前の日本においての甘酒と似てるような気がした。
バンコクの食
市内で出会ったカオマークの紹介をする前に、バンコクの食について話しておこうと思う。
バンコクの食事は辛いもの、甘酸っぱいもの、香草や香料がふんだんに使われたスパイシーなものがほとんどであった。
常に熱い国なので、辛いもので発汗を促し、汗の気化熱で体温を下げたり、また酸っぱいものやスパイスで食欲増進や食品の腐敗を予防したりしているのだろう。
基本的に食事は非常に美味しい!
バンコク市内で出会ったカオマーク
バンコク市内のコンビニエンスストアやスーパーで出会ったカオマーク
バンコクのスーパーやコンビニエンスストアにもカオマークがあると知人から伺っていたが、今回、セブンイレブンやイオン系列のマックスバリュ、その他の大型店などで販売されてる様子を確認できた!こちらは主に3種類のカオマークがあった。
大型のスーパーにはこちら2つの商品が販売されている。かなりの確率でスーパーの漬物や豆腐が販売されてるところに行けば出会うことができるだろう。
入手難易度は低だろう。
現地のセブンイレブンには稀であるがこちらのカオマークが販売されている!かなりレアなカオマークであるがコンビニエンスストアにあるものなので、入手難易度は中くらいである。
スーパーやコンビニのカオマークは綺麗なデザインがあしらわれ、さらには生産者情報や原材料、栄養価などが記載されている。まさしく産業として作られた甘酒といった所、味わいはいずれもトロピカルかつスイートであり、非常に美味である。
ちなみに…日本の甘酒を現地で拝見することは出来なかった…
バンコク市内の市場で出会ったカオマーク
今回訪れた市場は3軒ほど、クローントゥーイン市場、チャトチャック市場とその近隣のオートーコー市場である!
バンコク市内には非常に沢山の市場があるが、行くべき時刻は主に午前中、場所によっては土日でなければ開催されてないところも多々あるよう、市場の開催時間はよく調べてから行かなければならない…
また、タクシー運転手の案内を鵜呑みにしては絶対にいけない…事前調査と計画性を持っての行動が非常に大切。
クローントゥーイン市場は生鮮食品を扱う巨大な市場!日本で言う所の旧築地市場と上野のアメ横を混在し、カオスさを増し増しにした様な雰囲気である。クローントゥーイ市場は、地元の人が沢山食材を買いに来る場所でもあり、夕方の市場は仕事帰りの人々でごった返していた。
ここでは、野菜や魚、肉、動物、ナンプラーの様な味噌なのか魚の糠漬けなのか謎な食品に至るまで様々なものが売られていた。
ここでは小さいプラスチック容器に収められたカオマークがいた!
この製品はカオマーク(ข้าวหมาก)、生産者名、そして電話番号のみ記されたシンプルなもの。
入手難易度は高い。
オートーコー市場はバンコク最大の市場であるチャトチャック市場のすぐ近くにあり、綺麗に整備された場内と多量の野菜や果物、総菜などが出迎えてくれる。場内に設けられたフードコートでは日本円で150~200円ほどで非常に美味しい現地の料理が楽しめる。
※チャトチャック市場は、休日に開催される市場であるため、平日は閉店してる店がほとんど、営業しているのはほぼ、植物販売店のみ。花の香りに引き寄せられた蜂達が近隣からたくさん来ていた。チャットチャック市場ではめぼしい食品の発見はならず…
両市場ともに足を運んだが、なんとオートーコー市場で悲願のバナナの葉っぱに包まれたカーオマークを発見…!
プラスチック系の容器がなかった遥か昔から脈々と使い続けられてきた葉っぱを容器として作るカオマーク 。
現地で聞いた話ではバナナや蓮の葉が主に用いられるのだという。
大都会であるバンコク市内では非常にレアで、入手難易度は非常に高い。
伝統的な国民食でもあるが行事食でもあるカオマーク
カオマークは4月13〜15日のソンクランという旧正月に各地で作られ食べられる。
タイは4月が一番熱い時期、この時に各地に散らばった家族は一堂に介し、水を掛け合う行事と共にカオマークを食べるのだと話に聞いた。
日本における神社のお祭りや正月や七五三などに飲む甘酒のように、行事食としての何かしらの意味合いがあるのかもしれない…
さらに熱い時期に飲む事で甘酒と同様に滋養強壮効果を期待されているのかもしれない…
旅を振り返り
タイには日本の様な四季はなく、常に熱い熱帯地域である。そんなタイにも甘酒を飲んできた文化と歴史を感じることが出来たとともに、若い人は知らないものであると言う矛盾も感じた。
それでも一定の需要はあるようで、スーパーマーケットやコンビニエンスストアなど人々の身近な生活にひっそりと存在しているカオマークの姿を見た。
今回はタイ王国の首都バンコクという狭い地域の市場、スーパーやコンビニエンスストアなどへ、カオマークを求め歩いた。慣れない土地であった為、効率的な探索ができなかったように思えるが次回は行きたい場所を厳密にピックアップして回ってみようと思う。