甘酒祭17:山梨県山梨市の大嶽山那賀都神社の甘酒祭

山梨県山梨市の大嶽山那賀都神社の本殿

甘酒との所縁

大嶽山那賀都神社について

大嶽山那賀都神社は、広瀬ダム(広瀬湖)から直線距離で約2キロ、笛吹川沿いを走る国道140号線近くの山中(標高1000m)に鎮座しています。
当社は東京都、埼玉県、山梨県、長野県にまたがる秩父多摩甲斐国立公園内にあります。この他に当公園域で行われる甘酒祭としては秩父市の猪鼻熊野神社の甘酒祭両神山の麓に位置する小鹿野町にある八坂神社(天王社)の甘酒祭が挙げられます。

御祭神は大山祇神(おおやまつみのかみ)、大雷神(おおいかずちのかみ)、高龗神(たかおかみのかみ)が祀られています。
この3柱は、日本書紀によると伊弉諾尊がカグヅチ(火の神:伊邪那美の死因となる)を剣で斬った際に生まれた神々。
大山祇命は山の神(甘酒を作った木花咲耶姫命の父神)、大雷神は雷の神、高龗神は水の神とまさしく山・雷・水という山の自然の様相を表したかのよう。

当社の起源は、日本武尊が東征で秩父に向かう道中に濃霧に見舞われた際に、3柱の神々に助けられ、国師ヶ嶽の天狗尾根の辺りに奉った(奥宮)ことから始まります。

時を経て奈良時代初期の養老元年(717年3月18日)、国師ヶ嶽の奥宮より勧請・創建され、その歴史は1300年以上と非常に古く、有名な高僧である最澄(717年)や空海(831年)も修行に訪れたことがあります。

 

大嶽山那賀都神社の甘酒祭の起源

甘酒祭の起源は不詳ですが、50年程前の神社本庁から出版された文献に甘酒祭として記載が見られます。

文献によっては10月18日、そして現在の7月18日と変動が見られますが、創建日である18日だけは変わることなく続いているようです。

当社は古くは富士山での修行前の修行の地であり、行者の方々が筒に甘酒を入れて飲んでいたのではと宮司さんからお話がありました。当社の甘酒は『夏越しの妙薬』との呼び名もある通り、厄払いや疫病流しの側面が垣間見られます。

 

甘酒祭の感想

2019年7月18日の大嶽山那賀都神社の甘酒祭の感想

山梨県山梨市の大嶽山那賀都神社近くの天科バス停前

本日は2019年7月18日(木)、梅雨はまだ明けていない…空は薄っすらと雲が覆っているが晴れ間が覗いており、気温は27℃で蒸し暑い陽気。

 

バス停から神社までの大自然に囲まれた絶界の参道

最寄りのバス停(天科)から神社までは、約2.5キロほどと、かなりの距離がある。

山梨県山梨市の大嶽山那賀都神社の参道入り口(笛吹川)

 

参道の入り口は下を笛吹川が流れる渓谷… 渓谷特有の空気だろうか、しっとりと湿気を含んだひんやりとした風が心地よい。

 

 

 

山梨県山梨市の大嶽山那賀都神社の参道(渓谷の小川)

 

神社麓の駐車場がある場所から急勾配の登山が始まる! 笛吹川へと流れ込む小川の音が、辺り一面にこだまして…谷間、樹々、葉の一枚一枚に反響しているのだろうか…無限に反響し続ける水が流れ落ちる音…。

 

 

『この道を進んだ先に、本当に神社と甘酒祭が待っているのだろうか…』

 

そんな一抹の不安を感じるほどに、人界から隔絶された空間です。
※スマートフォンの電波も圏外…

山梨県山梨市の大嶽山那賀都神社の参道(鳥居)

駐車場から20〜30分ほど登ると、鳥居や朱塗りの橋が見えてくる…

山梨県山梨市の大嶽山那賀都神社の参道(亀の手水)

 

鳥居を潜り少し進むと、苔が生した亀の手水が出迎えてくれます。
顎には苔が長く垂れ下がりまるで髭の様…まるで四神の玄武の様!

 

 

 

山梨県山梨市の大嶽山那賀都神社の参道(境内間近の階段) 山梨県山梨市の大嶽山那賀都神社の門

さらに進むと大きな門が見えてきて、そこを潜るとようやく境内へと到着。 社殿に向かうにはさらに急な階段を登らなければなりませんが、足取りは軽いです。

 

険しい登山の末に出会う…修行僧も飲んでいたであろう美味しい甘酒

山梨県山梨市の大嶽山那賀都神社の本殿 (2)

当社の甘酒祭は11:30から本殿内にて式典、12:00に甘酒の直会が執り行われました。 式典の始まりから直会の終わりまで、約30~40分ほど。

山梨県山梨市の大嶽山那賀都神社の甘酒祭の甘酒


直会の甘酒は御神前に供えられたものを直接、盃に注いでいただきました。
硬造り甘酒で流動性はなく多分、糖度は36~37%位あるかな…

香りは甘い胚芽ボーロ系のもので、柔らかく濃厚なコクと旨味のある甘み、そして麹の程よい風味がある非常に美味しい甘酒!

 

甘酒祭と呼ばれてはいるものの、甘酒に注目して訪問したのは自分のみの様で、他の方々は祭日に御祈願をする為に訪問していた様でした。

 

大嶽山那賀都神社の甘酒祭の情報

開催日:7月17〜18日開催
17日は宵宮祭、この日は大きな神事は執り行われないとの事でした
18日の(11:00~11:30頃から本殿にて式典、12:00~甘酒の直会)
※甘酒祭に参加したい場合は、18日がお勧めです!事前に社務所に日時の問い合わせをしておいた方がいいかもしれません。

最寄り駅:JR中央本線塩山駅で山梨交通バスの西川渓谷入口行き乗車、天科で下車、徒歩50分(2.5キロ)

住所:山梨県山梨市三富上釜口617

大嶽山那賀都神社:https://nagato-jinja.jp/
山梨県神社庁:http://www.yamanashi-jinjacho.or.jp/intro/search/detail/2105