甘酒を調べていくと日本の神々の名前や伝承、甘酒にまつわる地や祭事と非常に関連深いことに気が付きました。甘酒は伊勢神宮での神事に用いられる4種の御神酒である白酒、黒酒、醴酒(甘酒)、清酒に名を連ね、今でも用いられており、酒の代わりに甘酒を神への献上に用いる、甘酒を用いた祭りなどが各地に存在し、日本の神々とは切っても切れない関係にあることがわかりました。
基本構成は『古事記の世界観』と『日本の神々の系図と伝承』としております。
日本の神々の系図と伝承は、男神は青文字、女神は赤文字で記し、重要な神や出来事は段落分けして読み易くまとめてあります。
今後、甘酒を探求していく中で出会う、神々、神社、神事、祭り、そして所縁の地の話を結び付けていくと面白いだろうと考え、日本の神々の系譜をまとめた古事記を簡潔にまとめた記事を作ろうと考えました。そこで『古事記』の基本書を基に、酒と神社に関連する論文から簡単にまとめてみました。
私自身、理系出の人間ではありますが、日本の神々の話は結構好きで、神社に行く際は、主祭神と伝承をチェックするようにしていたので、非常に楽しく記事が書け、簡単ではありますが、相互関係も理解できるようになりました。甘酒好きの、または日本の神事に興味がある方も読んでいて楽しい様なサイトになれるように今後は加筆修正をしていこうと思っております。
Contents
古事記の世界観
・高天の原(天界)、葦原の中つ国(この世)、黄泉の国(あの世)
・高天の原の神々(天津神)と葦原の中つ国の神々(国津神)
・神々と天皇家の繋がりを記した伝記
・初代天皇である神武天皇と大和朝廷の話
・ヤマトタケルノミコトの話
日本の神々の系図と伝承
別天つ神:混沌とした世界が天と地に分かれた時に高天の原に現れた姿なき神(5神)
◆造化三神(アメノミナカヌシ、タカミムスヒ、カムムスヒ)
※タカミムスヒ(原始の神:高天の原の最高神)→オモイカネ、ヨロズハタトヨアキツヒメ(+アメノオシホミミ→ニニギ:天皇家直系の神様)
※カムムスヒ(農耕神)→スクナビコナ(少彦名神:大国主と共に国づくりをした神様・酒神)
◆アメノコトコタチ
◆ウマシアシカビヒコジ
神世七代:大地が定まった時に高天の原に生まれた2神5組の神々
◆クニノトコタチ
◆トヨクモノ
◆ウヒジニとスイチニ
◆ツノクイとイクグイ
◆オオトノジとオオトノベ
◆オモダルとアヤカシコネ
◆伊邪那岐と伊邪那美
伊邪那岐と伊邪那美:葦原の中つ国を創造した神
◆伊邪那岐と伊邪那美
葦原の中つ国にオノゴロ島(絵島:大阪湾内)と天御柱(上立神岩:大阪湾内)を造り、そこで国生みと神生みを行う。
国生み(ヒルコ、アワシマ、大八嶋国の誕生)
※ヒルコ→第一子、手足がなかったため、子とは数えられず、後に七福神の恵比寿に転生
※アワシマ→第二子、泡のように姿が安定せず、子とは数えられず
※大八嶋国(日本の8つの島:沖縄、北海道は含まれず)
1.アワジノホノサワタケシマ(淡路島)、2.ヨノヨフタナノシマ(四国)、3.オキノミツゴノシマ(隠岐の島)、4.ツクシノシマ(九州)、5.イキノシマ(壱岐の島)、6.ツシマ(対馬)、7.サドノシマ(佐渡島)、8.オオヤマトトヨアキヅシマ(本州)
※島は総数14島お産みになられました。
神生み(国津神、カグツチなどの誕生)
※国津神(オオヤビコ、オオヤマツミ(大山祇命:山の神・酒解神・酒神)、オオワタツミ(海の神)、オオゲツヒメなど)
※オオヤマツミ(山の神:酒解神)の子に、コノハナノサクヤヒメ(木花咲耶姫:酒解子・永遠の繁栄・酒神)、イワナガヒメ(永遠の命)、アナヅチ(クシナダヒメの父)がいる
※カグツチ(火の神)の出産→伊邪那美の死因
※神は総数35神お産みになられました。
◆伊邪那岐
伊邪那美の死後、黄泉の国へ迎えに行くが叶わず、川で禊を行った際に三貴子を始めとする神が生まれる。世の統治を三貴子に託し、自身は隠居する
伊邪那美の死と黄泉の国めぐり
→カグヅチ出産の後、伊邪那美死去
※伊邪那美が死去する前に様々な神が生まれ、尿から生まれたワクムスビという神様の娘が、伊勢神宮の外宮に祀られている食物神の豊受大神です。
→カグヅチの殺害とそこから生まれるタケミカヅチ
→黄泉の国へ伊邪那美を迎えに行くも失敗
※黄泉の国の入り口(黄泉比良坂)
※伊邪那美はヨモツオオカミ(黄泉津大神)へ
黄泉の国の汚れを落とすための禊と隠居
→黄泉の国に行った後の禊
※住吉三神、三貴子(天照大御神(太陽神)、月読命、須佐之男命)が誕生
→三貴子の天照大御神に高天の原(天界)、月読命に夜の食国、須佐之男命に海原の統治を任せるも、須佐之男命は海原の統治が出来ず追放
→近江の多賀に定住(隠居)
※隠居の地(伊弉諾神宮)
三貴子:伊邪那岐から高天の原、夜の食国、海原の世界の統治を任された神々
◆天照大御神(太陽神):高天の原を統治
須佐之男命との誓約
→天照大御神の首飾りから5神(男神)が子として生まれる
※アメノホヒ、アメノオシホミミ(ニニギの父)など
天の岩屋隠れ
→須佐之男命の狼藉に心痛め、天の岩屋隠れを起こす。
※天の岩屋隠れの地(天岩戸神社)
→天の岩屋隠れの解決
※オモイカネ(岩戸神楽を創案し、天照大御神を引っ張り出した神)、アメノウズメ(岩戸の前で踊った神)、アメノタヂカラオ(岩戸を開け放ち長野県の戸隠山へ投げた神)、フトタマ(岩戸に注連縄を張った神)
※天の岩戸が飛んで行った地(戸隠山)
※戸隠山の麓に立てられた神社(戸隠神社)に『天の岩戸開きの神事』に功績のあった神々が祀られている
◆月読命:夜の食国を統治
→天照大御神から中つ国に食物の神がいる為、会いに行きなさいと命を受け赴いたが、その神は口から食物を吐き出す形で生み出していたので、月読命は汚らわしいと怒り、斬殺してしまいました。天照大御神はその出来事を非常に怒り、二人は不仲になってしまった為、月と太陽が顔を合わせることは無くなった。(日本書紀・第一巻神代上)
◆須佐之男命:海原の統治を任されるが解任され、中つ国に移る
→海原を追放され高天の原に行く
→天照大御神との誓約
※須佐之男命の剣から3神(女神:宗像三女神・酒神)が子として生まれる
→高天の原で暴れて、天照大御神の天の岩屋隠れを引き起こす
→高天の原を追放され、中つ国の出雲に降り立つ
八岐大蛇の討伐
→八岐大蛇を退治し、その尾から草薙剣を得えて、これを天照大御神に献上する。
※草薙剣は三種の神器の一つである
→オオヤマツミ(山の神)の子のアナヅチの娘であるクシナダヒメ(櫛名田姫)と結婚
※二人の子孫に大国主(国造りと国譲りの神・酒神)がいる、須佐之男命の娘であるスセリビメと結婚、出雲大社の主祭神
→オオヤマツミ(山の神)の娘であるカムオオイチヒメ(オオトシミオヤノカミ)と結婚
※ウカノミタマノカミ(宇迦之御魂神)は二人の子で、お稲荷さんとして有名で伏見稲荷大社の主祭神
大国主の国づくりと国譲り
◆大国主:国づくりと国譲りの神・酒神
→須佐之男命とクシナダヒメの子孫(6世代目)
→因幡の白兎を助ける
→須佐之男命のスセリビメと結婚
国づくり:中つ国を豊かにする話
※別天つ神のカムムスヒの子であるスクナビコナ(少彦名神:酒神)、海から来たオオモノヌシの助けで国づくりを完成
国譲り:中つ国を天津神に譲る話
※天照大御神の御意向により、国津神である大国主達から天津神へと国の統治権限が移る
※その見返りに、出雲大社を頂く
天孫降臨:ニニギが中つ国に降臨する話
※天照大御神と須佐之男命の誓約の際に生まれたアメノオシホミミの子であるニニギ(天照大御神の孫)が統治する
※天孫降臨の地(高千穂神社)
天孫降臨と初代天皇の誕生
◆ニニギ(邇邇芸命):天皇家に連なる神
→天照大御神と須佐之男命の誓約の際に生まれたアメノオシホミミの子(天照大御神の孫)
天孫降臨:ニニギが高千穂の地に降り立つ神事
※天照大御神より三種の神器(八咫鏡、八尺瓊勾玉、草薙剣)を託される
※サルタビコ(猿田彦)の案内で中つ国に降臨→サルタビコはアメノウズメと結婚
コノハナサクヤヒメ(木花咲耶姫:酒解子・酒神)との結婚、そして寿命が生まれた
→オオヤマツミ(大山祇命:山の神・酒解神・酒神)の娘であるコノハナサクヤヒメ(酒解子)と結婚、その際に姉のイワナガヒメも一緒にと送られたが、イワナガヒメを拒む。コノハナサクヤヒメは永遠の繁栄を、イワナガヒメは永遠の命を願い送られた女神であった為、ニニギの子孫は永遠の命を失った(寿命が出来た)
→コノハナサクヤヒメとニニギの子が、ホデリ(海幸彦)とホオリ(山幸彦)
→子が生まれた際に祝いの為に、甘酒(天甜酒:あまのたむけざけ)が誕生したという逸話がある。(日本書紀・第二巻神代下・天甜酒)
◆神武天皇:ニニギ直系の初代天皇
→ホオリ(山幸彦)とその子孫はオオワダツミ(海の神)の娘のトヨタマビメ、タマヨリビメと結婚し、初代天皇の神武天皇が誕生
→大和政権の始まり(奈良県辺り)※時代は弥生時代頃(15代天皇までがこの時代)のことです。
ヤマトタケルノミコトの伝承
◆ヤマトタケルノミコト(日本武尊)
→12代天皇である景行天皇の子
→西征(関西地方から中国地方・九州地方の平定に)
→東征(関西地方から中部地方・関東地方の平定に)
※出発前に伊勢神宮の巫女である母から草薙剣を託される
参考文献
・マンガ 面白いほどよくわかる!古事記:西東社
・酒神と神社1~18:日本醸造協会、加藤百一著
・「日本書紀」に現われた酒/加藤百一
・天岩戸神社HP:http://amanoiwato-jinja.jp/
・戸隠神社HP:http://www.togakushi-jinja.jp/
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