『甘酒から紐解く栄養学』では、5大栄養素の中の『炭水化物』、『タンパク質』、『脂質』を『エネルギー源(栄養素)』や『生体構成成分』にするという説明をしました。実は、外界から『エネルギー源』を得て生命活動を維持する事、外界から得た物質で『生体構成成分』を作る事の2つが生命活動を維持する為の最優先事項になります。その中でも特に『エネルギー源』からエネルギーを得て生命活動を維持するのが『呼吸』や『発酵』なのです。
今回はこの2つの最優先事項のうちの『エネルギー源』に着目して、
・第1回にエネルギーを得てそれを使う話
・第2回にエネルギーを『獲得する方法の呼吸と発酵の違い』と『食品分野における発酵』の話
をして締めくくる予定です。
『この記事を読むとなぜ太るのかも分かります(笑)』
Contents
エネルギー源(栄養素)からエネルギーを得る~有機物からエネルギーをゲットする~
生物は外界の物(エネルギー源)を利用して、エネルギーを獲得し、そのエネルギーを消費することで生命活動を維持しています。この全生物にとってのエネルギーはATP(アデノシン‐3‐リン酸)という形で保存され、これをADP(アデノシン‐2‐リン酸)に分解することでエネルギーを取り出して利用しています。そう生物の体で行われるエネルギー消費を伴う化学反応はすべて、このATPが介在しており、まるで私たちの経済界における通貨の様な役割を果たしていることから、『エネルギー通貨(ATP)』なんて言われています。
『ATPはエネルギーの通貨で、経済破綻したら大変』
と覚えておいてください(笑)
外界から獲得してくるエネルギー源(栄養素)は、このATPを作り出すために使われます。これは全生物の共通事項です。無機物からエネルギーを得て有機物を得る独立栄養生物から、有機物からエネルギーを得て有機物を得る従属栄養生物に至るまですべて、まずはATPを作り出すことが大前提なのです。
栄養素から取り出したエネルギーはATPという通貨に収めた上で使用されるので、エネルギー源である栄養素を直接物々交換してなんて言うことは原則行われません。
『僕たちの体で使用するエネルギーはすべてATPという通貨に変換してから使われる』
と覚えてください。
そしてATPは必要な時に必要な分だけ造られるので、エネルギー源(栄養素)が過剰に余ってしまった場合は、栄養素が足りなくなった時のために、何かに変えて、僕らの体の周りに貯めこまれるのです…体重が増えてきたなというときは、大方、栄養素の供給過多です。
『これが所謂、太るという生理現象の簡単なメカニズムです(笑)』
得たエネルギーを使う~エネルギーを使って新たな有機物を作る~
この得たエネルギー(ATP)を用いて、僕らの体を動かすための運動エネルギーとしたり、体を構成する物質を合成するときの化学エネルギーとしたり、神経伝達をするための電気エネルギー(電気ウナギなどは…)にしたり、光を発するための光エネルギー(蛍など)にしたり、体温を維持するための熱エネルギーにしたりしている訳です。
『ATPを分解する事でエネルギーを得て、このエネルギーを用いて筋肉の稼働や、
生体構成成分の合成などを行い、私たちの生命活動を維持している』
と覚えておいてください。
ちなみに、このATPの合成と分解は絶えず体の中で行われており、例えば、私たちが何もしていないの間に用いる基礎エネルギー(基礎代謝量)は、ATPの絶え間ない合成と分解に起因しています。死ぬその時まで、生命はこのサイクルを止めることはできないのです。
まとめ
今回は、エネルギー源からエネルギー通貨(ATP)に保存するという形でエネルギーを得る話と、ATPを分解して取り出したエネルギーで生命活動を維持していることを説明しました。
また、なぜ太るのかという話も…
エネルギー源を燃やしてエネルギーを得る過程は川の流れの様なものなので、供給が多すぎると、決壊するのです。そしてあふれた過剰な栄養素は脂肪という形でお腹周りのぷよぷよになり、使われるその時までため込まれてします訳です。
続きは『呼吸や発酵の役割は?!~第2回:エネルギーを得る手段の呼吸と発酵の違いと食品における発酵とは~』でお話します。
コメントを残す