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甘酒との所縁
静岡浅間神社について
静岡浅間神社(しずおかせんげんじんじゃ)は、賎機山(しずはたやま)の麓に鎮座する7社の総称で、いずれの神社も創始の時期は異なりますが、概ね1000年以上の歴史があります。
今回の昇祭(のぼりさい)・降祭(くだりさい)を執り行う神社は、木花咲耶姫を御祭神とする浅間神社(あさまじんじゃ)と、咲耶姫の父である大山祇命を御祭神とする麓山神社(はやまじんじゃ)の2社です。浅間神社は901年(延喜元年)、麓山神社は274年(応神天皇5年)にそれぞれ賎機山の麓に鎮座しました。
浅間神社は、醍醐天皇の勅命により、富士山本宮浅間神社から御分霊を勧請し、富士新宮としてお祀りしたものだそうです。
神主さんの話によると、木花咲耶姫は桜の花の様に美しい女神様で、富士山の壮大で美しい姿と合わせて信仰するのが浅間信仰であるとのこと。
昇祭(のぼりさい)・降祭(くだりさい)の起源
昇祭・降祭とは、浅間神社(本宮)の御祭神である木花咲耶姫が、同神領内に鎮座する麓山神社(山宮)の御祭神で咲耶姫の父に当たる大山祇命に会いに行き(昇祭)、そして翌日に帰る(降祭)お祭です。明治時代以前は4月と11月の『未(ひつじ)の日』と『申(さる)の日』に実施されていた、山宮祭(昇祭)と初申祭(降祭)に由来しています。
神主さんの話によると、春の田植の時期に山から田へ神様が降りてきて、秋の収穫が終わった時期に神様が山に御帰りになる祭りが、長い時を経て、今の形に変わっていったのがこの昇祭・降祭だそうです。
降祭の際には、特殊神饌として一夜酒(甘酒)が木花咲耶姫に献饌され、神事後に、参拝者に振舞われます。普段の御神事では米から加工した清酒を、新嘗祭の時には白酒(しろき)・黒酒(くろき)をお供えするが、この降祭の時には、一晩だけ醸した一夜酒(甘酒)をお供えします。
木花咲耶姫と甘酒の伝承には、子供が生まれた際の祝いに甘酒のルーツと言われている天甜酒を醸して新嘗祭をした神話、子供に母乳の代わりとして甘酒を与えて育てた話などがあります。
昇祭・降祭の感想
2018年11月3・4日の昇祭・降祭の感想
甘酒(一夜酒)が特殊神饌として神前に献饌されるのは4日の降祭ですが、『木花咲耶姫が父である大山祇命に会いに行き、そして帰る神事』という一連の流れがあるので、3日から参加しました。
静岡市内では祭りの日と重なるように大道芸ワールドカップが開催されており、その為か神事に参加する人々はそこまで多くないようです。
2018年11月3日の昇祭の感想
本日は2018年11月3日(土)で、薄っすらと曇った合間から時折光が差し込む日で、上着を羽織ったくらいだと寒過ぎるかなといった気温でした。
祭は夕方(16:00)から始まり、この時間にもなると辺りは夕暮れ…薄っすらと暗くなり始めています。
神事に先立ち、15:55に社務所前にて神主及び巫女さんが集まり、祭りの始まりを知らせる太鼓の合図を鳴らした後に、浅間神社に向かいます。16:00から16:20まで社殿にて式典を執り行った後、木花咲耶姫を乗せた神輿は階段を昇り、麓山神社へと渡御します。
階段は非常に険しく、登り切ってから下を見ると、まるで緩やかな崖…足を滑らせると100段下まで真っ逆さまです(笑)
この階段は、その名も『百段階段』です。
16:35から17:00まで社殿にて式典を執り行った後、この日の工程は終わりとなります。16:50から舞われた神楽『豊栄の舞』が一つ見どころです。
2018年11月4日の降祭の感想
本日は2018年11月4日(日)で、朝はやや雲があるものの薄っすらと晴れ間が見える秋の陽気でした。
祭は先日と同じく夕方(16:00)から始まりました。
神事に先立ち、15:55に社務所前にて神主及び巫女さんが集まり、祭りの始まりを知らせる太鼓の合図を鳴らした後に、今度は木花咲耶姫が宿泊する父神『大山祇命』を祀る麓山神社に向かいます。
16:05〜16:25まで社殿にて式典を執り行った後、木花咲耶姫を乗せた神輿は麓山神社を後にし、階段を降り、浅間神社へと渡御します。
16:40から本殿にて式典が執り行われましたが、この際、なんと本殿に入り儀式に参列することができました!
式典が始まってすぐ、静かな空気の中、『バシャ、バシャ~~』という滝の様な水が流れる音が聞こえてきました…『あぁ、厳粛で静かな空気になった為、本殿の脇を流れる小川の滝の音でも聞こえて来てるのかな』と思っていました。空気もどことなく、涼やかな、味わいのある美味しい空気に…
そして式典が終わる17:00頃には不思議と滝の音も聞こえなくなった…と思ったら、神主さんの話では、木花咲耶姫を神殿に御戻しになったその時から滝の様な雨が降り出したのだとか!?
本殿内は撮影禁止だったので、写真を撮る事は出来ず、外から直会の様子を納めました。
御神饌の甘酒は、参道(浅間通り)沿いに店を構える川村こうじ店で醸されたもの。薄めていない濃い状態で頂きましたが、お世辞抜きに香り、味共に非常に美味しい一品でした。
※御神饌の甘酒は賎機焼き(しずはたやき)の壺に納められ、御神前に献饌され、その壺から直接、直会の甘酒を頂くことができます。
※境内の『せんげん茶屋』でも同じ甘酒を頂くことができますが、こちらでは飲み易い濃さに薄めて提供しています。
降祭の全ての工程を終えて、神社を後にする時、確かに辺りは濡れていたけど、空は赤と青のコントラストがわかるほど綺麗な夕暮れでした。
帰りの最中、ほんのりと湿気を含み、寒さと温かさが混じり合った心地よい空気の中、静岡の街を後にしました。
昇祭・降祭の情報
開催日:11月3・4日に開催(両日ともに16:00から式典が始まり、4日は式典終了後の17:00過ぎに甘酒振る舞い)
最寄り駅:JR静岡駅の北口より出て、9番乗り場のバス『安倍線』または『美和大谷線』に乗り、赤鳥居浅間神社入口を下車してすぐ
住所:静岡県静岡市葵区宮ケ崎町102-1
静岡浅間神社:http://www.shizuokasengen.net/