和名鈔(わみょうしょう)とは、平安時代中期の承平年間(931~938年)に醍醐天皇(60代)の皇女である勤子内親王(きんしないしんのう)の命で、源順(みなもとのしたごう)により撰進された日本初の漢和辞典です。この書物には『醴』の記述で甘酒に関係のあるキーワードが出てきます。
和名鈔に書かれた『醴』
醴が記載されている文を挙げると、
醴(コサケ) 四聲字苑(しせいじえん)云醴 音禮和名古佐介(こさけ) 一日一宿酒也
※四聲字苑…和名鈔に現われる引用文献の一つ
とあり、訳すと、醴とは四聲字苑によればコサケと読み、一夜で出来る酒だという事が記されています。
これだけだと、醴は「コサケ」と読み、一晩で出来る一夜酒である事しかわかりません。同年の法律書『延喜式』に醴酒というものの記載があり、米・麹・酒で仕込む甘くて一夜で出来る酒であることがわかっているので、同じものである可能性が非常に高いです。
参考文献
・国立国会図書館デジタルコレクション:箋注和名鈔訓纂/1886年(明治19年)/森立之 著
URL:http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/863175/26
・国立国会図書館デジタルコレクション:箋注和名類聚抄・巻4/1886年(明治19年)/狩谷棭斎 著
URL:http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1209871/35
・国立国会図書館デジタルコレクション:箋注和名類聚抄・巻4/1921年(大正10年) /狩谷棭斎 著
URL:http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1209938/35
・国立国会図書館デジタルコレクション:箋注和名類聚抄・上巻/1930~31年(昭和5~6年) /狩谷棭斎 著
URL:http://dl.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/1175201/207
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