甘酒は万能飲料なのか?!~甘酒から考える生命活動、代謝、栄養素、そして健康と病気~

甘酒の栄養価や機能性に着目した新聞記事や論文報告が着々と増えつつあります。

これらは基本的に人間にとってどう良いのかについての話ばかりで、生物全般にとってはという話が成されたことは基本的に目にすることはないと言っていいでしょう。

我々、人類から微生物に至るまで、全ての生物に共通しているキーワードを挙げると、『生命活動』『代謝』『栄養素』ではないでしょうか。

今回の記事では、生物全体の目的である次世代に種を紡ぐ為に行っている『生命活動』の話、生命活動を行う為のエネルギー源や体などを維持するのに必須な『代謝』の話、代謝を行う為に必須の物質である『栄養素』の話の3つを簡単に説明し、その上で『健康と病気』を考え、『甘酒の健康効果について』を考えていきます。

生命活動とは

生命活動とは、

『生物が生きている状態を維持する為に行っている基本的な活動』

と考えればいいでしょう。

この生きている状態を維持できなくなった時、生命活動の終わりが訪れ、それが『死』というものです。

 

生命活動の目的は『生きている状態を維持すること』でもありますが、一番大きな目的は『自分が所属している種が次世代に続くようにすること』でしょう。つまり、未来に種を残していく為に今を生きていることが、生物としての大前提だと言えます。

 

その為に、生物が日々行っているのが、栄養素を獲得し、エネルギーや体に必要な素材を合成し、さらに子孫を残すための繁殖です。

 

・食事は『栄養素の獲得』

・代謝は『栄養素をエネルギーに変えたり体に必要な素材への合成』

・繁殖は『次世代に種を残すこと』

 

代謝とは

代謝とは、

『生命活動を維持する為のエネルギーを獲得する過程、体や生命活動を補助する為の物質を作る過程のこと』

と考えればいいでしょう。

生きている以上、エネルギーが必要ですし、体を健康な状態に維持する必要もあります。

代謝がストップするという事は、生命活動がストップする事とほぼ同じで、生命活動を続けている以上、代謝も続いていくことになります。

 

代謝が悪くなると、エネルギーの獲得、体や生命活動を補助する為の物資を作る循環が悪くなることに直結し、免疫細胞の働きの良し悪し、肥満になりやすいか否かにも関わってきます。

 

栄養素とは

栄養素とは、

『生命活動を維持する為のエネルギー、体の材料や生命活動を補助する為の酵素などの源泉となるもの』

また『エネルギーを得たり、補助の役割をするビタミン類』も該当します。

栄養素がないという事は、車や機械で例えるなら、ガソリンや電気などが無いに等しい事です。また、過剰過ぎると、足りなくなった時の為に蓄えておく機能があり、それが脂肪としての蓄積、つまり肥満です。人にとっての機械のバッテリーみたいなものですね(笑)

 

そして、栄養素ごとに役割や働きが異なりますので、ある特定のものを多量に摂取することは、好ましくありません。

特に糖尿病などの食事制限等を課される様な病気の場合は要注意です!

 

健康と病気とは

ここまで話をすると健康と病気についても説明しやすくなります。

簡単に言うと、
健康とは『生命活動や代謝がスムーズに行われている状態』、つまり、エラーがない状態です。
病気とは『エラーが蓄積していき、生命活動や代謝に支障が生じている状態』です。

 

食べ物は、やはりバランスよく食べる事が大切で、特定のものを過剰に摂取するのは好ましくありません。

また、病気の状態によっては、その病気に対応した食事をすることが好ましく、考え無しに偏った食事をすると病気の悪化を招く結果となります。

 

甘酒を考える

甘酒は確かに、栄養バランスが良く、エネルギー源や体の材料となるものも多く、これらを得るための体の働きを補助する食品です。その性質上、江戸時代またはそれ以前から滋養強壮の為に飲まれてた歴史的背景があり、飲む点滴とも言われています。

また、甘酒を出荷する際の殺菌過程で、酵素を壊していなければ、その酵素の働きも期待できます。実際に甘酒に入っている麹菌の酵素は、タカジアスターゼという名前で第一三共ヘルスケア株式会社の胃腸薬として用いられています。その他にも発酵食品特有の機能性もあります。

それでも甘酒は、ノンカロリーではないし、特定の効果を期待して用いられる医薬品でもありません。

なので、過度な期待をし過ぎずに、日本古来から飲まれてきた美味しい発酵飲料(発酵食品)として楽しむことが一番なのではないでしょうか。

日々の食生活の偏りに、甘酒を飲むことで改善できたり、さらに良い効果があることも確かなので、今後、この辺りの話も充実させられればなと思っています。